LOADING ...

監視カメラの用途(歴史)

監視カメラは,公共機関,交通機関,ビル,店舗,マンションなどでの安心・安全を高めるために広く使用されている。同軸ケーブルを使用してアナログのNTSC映像信号をベースバンドで送る閉じたシステムであることから,放送用のテレビ網に対してCCTV(Closed Circuit Television)カメラとも呼ばれる。監視カメラは,古くは1960年代に白黒の撮像管を使用した工業用カメラの応用から始まる。工業用カメラであることからITV(Industrial Television)カメラと一部の市場では現在も呼ばれている。
1980年代には光を電気信号に変換するカメラの目に当たるイメージセンサが撮像管からCCD(Charge Coupled Device)1) という固体撮像素子に置き換わることで信頼性や保守が軽減されるとともに,カラー化が進んだ。現在はカラーカメラがほとんどであり,白黒カメラは尐ない。解像度に大きく影響するCCDの画素数も向上し,有効画素数25万画素,38万画素が主流となっており,近年は更に48万画素も登場した。
カメラ内部の信号処理はアナログ回路であったが,1990年頃からはディジタル信号処理を利用したカメラが登場して調整が容易となり,部品のコストダウンも進んだ。また,ディジタル信号処理やメモリを活かした機能も登場した。例えば,ディジタルフィルタやメモリを活用した輪郭補正による解像感の向上,フレームメモリを活用した巡回型ノイズリダクションによる低照度性能の向上,短時間露光と長時間露光の2画面を合成して明るい被写体と暗い被写体を同時に見えるようにするダイナミックレンジ拡大機能などがある。
監視カメラでは暗いところを見たいという要望が強く,CCDの感度向上と巡回型ノイズリダクションにより低照度性能の改善が進んだ。2000年頃には更に低照度性能を向上させるために赤外線カットフィルタ1) を動かす機構により,通常のカラー時は赤外線カットフィルタにより可視光以外の波長を除去して色再現を保ち,低照度時は赤外線カットフィルタを抜いてCCDの近赤外感度を活かした白黒カメラとして動作させるデイナイトカメラが登場した。