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ネットワークカメラの用途(歴史)

ネットワークカメラには,主に監視カメラなどと同じ安心・安全を高めるセキュリティ用途と,家庭や店舗内などの様子を遠隔から観察することを目的としたモニタリング用途がある。両者の違いは主に性能や機能の差によって分けられているが,基本的な機能や原理は同じである。ネットワークカメラは監視カメラのアナログ伝送方式と異なり,画像圧縮技術とIP(Internet Protocol)を使用してディジタル映像信号をLANやインターネット経由で伝送する。カメラごとに同軸ケーブルを1本引く必要があるアナログ伝送方式に対して,LANにより複数のカメラのディジタル映像信号をケーブル1本で長距離伝送できる。また,アナログ伝送方式のようにテレビジョン方式の制約がないことから,高画素化が可能であることや,インターネット経由でメールに画像を添付して送信したり,携帯電話で画像が閲覧できたりするなどのメリットがある。反面,カメラからのディジタル映像信号を記録・再生するためには画像圧縮方式やIPの各種プロトコルが一致している必要があり,画像圧縮や伸長,LAN内の伝送などにより遅延が発生する。
ネットワークカメラは,画像圧縮技術やネットワーク技術の普及を背景に1990年代後半に登場した。当初は画像サイズがCIF(352×288)の静止画をJPEGでフレームレート1 fps程度伝送する性能であった。その後,半導体プロセスの進化や画像圧縮技術の向上により画素数やフレームレートが向上してきた。画像圧縮技術では,2002年頃には動画圧縮方式のMPEG-4,2008年頃にはMPEG-4AVC / H.264が登場した。画像サイズは現在では,NTSCとほぼ同じVGA(640×480)やD1(720×486)と,より高画素の4:3アスペクト比では1280×960,16:9アスペクト比ではHD(1280×720)やフルHD(1920×1080)が主流となっている。フレームレートも現在では,動画と言える30 fpsを実現している。